河合さんが亡くなった
構成表を書いていたら、ディレクターのOさんが飛び込んできた。部屋に入るなり顔がくしゃくしゃになった。えっ、どうしたのだ。
「河合先生が亡くなられました」声の最後は泣き声になっていた。一瞬、情報は受け取ったものの、それがどういう意味をもつか分からず、ぽかっと抜け落ちた。
それって、元文化庁長官で、臨床心理学者の河合隼雄さんが死んだということか。何時だ。本日の午後2時半だと。いくつだ。79歳。 嘘だ。先生のガタイならまだ生きていけたはずの年齢だ。2年前に倒れてもはや限界だったのだろうか。
部屋の椅子に掛けたOさんはハンカチを口にあて嗚咽をこらえている。慰める言葉もなければ、私の気持ちを語る言葉もない。何か損をした気分だけがある。大切なものをなくしたという、あの損だ。
2002年1月に文化庁長官に就任したとき、一期3年のはずだったのに。内閣の人気とりのためもう一期やらされたのだ。3年目のとき、先生は辞めるつもりだったのに。なまじ役人たちと5年も付き合ったから、疲労がたまったのだ。
倒れたときもそうだ。高松塚古墳の国宝壁画の損傷を未公表のまま修復していた問題などで責任をとらされ、おまけに現地まで謝罪に行かされたのだ。きっと、そういう情報を役人たちは上げずに勝手にやって、ばれたらトップに詰め腹を切らせたのではないだろうか。
真偽は分からないがいずれにせよ。その謝罪に行った明日香村で先生は倒れ1年以上の闘病となったのだ。
2期もやらせた前首相はどう考えているのだ。この大臣としての過労がなければ、先生はユング心理学の集大成を追うはずだったのだ。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング