1958年
「Always 3丁目の夕日」の舞台は1958年である。「あしたのジョー」が少年マガジンに連載される10年前だ。私は10歳、小学5年生だった。この年は映画の年だった。
日本の映画観客が史上最高の11億2700万人を記録した。現在、大人1800円の入場料は当時150円だった。子どもはたしか55円だったと記憶するが。正月はなにより映画を見に行った。東映のオールスター映画「忠臣蔵」を私は弟を連れて行ったと記憶する。会場は人でいっぱいで、座席がなく舞台に上がって、袖から斜め上のスクリーンを見上げることになった。それでも贔屓の錦ちゃん(中村錦之助、後に萬屋に改名)が出ていたので満足だった。
当時、私の町では映画を見ると不良になるから、盆正月以外は小中学生は観覧禁止だった。だから正月は映画館へこどもが殺到した。
それでも、私は内緒で映画を見に行った。全部、見たわけではないが、以下の20本は私の記憶に残っている。
1.1958.01.03 スーパー・ジャイアンツ 宇宙艇と人工衛星の激突 新東宝 石井輝男
2.1958.01.03 銭形平次捕物控 八人の花嫁 大映京都 田坂勝彦
3.1958.01.03 任侠東海道 東映京都 松田定次
4.1958.01.09 伝七捕物帳 髑髏狂女 松竹京都 福田晴一
5.1958.01.15 張込み 松竹大船 野村芳太郎
6.1958.02.08 怒りの孤島 日映 久松静児
7.1958.02.15 女王蜂 新東宝 田口哲
8.1958.02.25 少年探偵団 透明怪人 東映東京 小林恒夫
9.1958.03.11 赤胴鈴之助 三つ目の鳥人 大映京都 森一生
10.1958.04.28 スーパー・ジャイアンツ 宇宙怪人出現 新東宝 三輪彰
11.1958.06.22 鶯城の花嫁 東映京都 松村昌治
12.1958.07.30 月光仮面 東映東京 小林恒夫
13.1958.08.06 月光仮面 絶海の死斗 東映東京 小林恒夫
14.1958.08.12 風速40米 日活 蔵原惟繕
15.1958.09.02 鰯雲 東宝 成瀬巳喜男
16.1958.09.23 赤い陣羽織 歌舞伎座 山本薩夫
17.1958.10.22 白蛇伝 東映動画 藪下泰司
18.1958.11.15 赤胴鈴之助 黒雲谷の雷人 大映京都 渡辺実
19.1958.12.07 蟻の街のマリア 歌舞伎座 五所平之助
スーパージャイアンツは宇津井健が出ていて、これは必ず見に行った。隠れて見たのは月光仮面、少年探偵団、赤胴鈴之助、だ。学校から引率された文部省選定の映画が数本ある。[怒りの孤島]、[蟻の街のマリア]がそれだ。両方ともあまりの暗さに、夜寝るときに恐怖した。引率映画の楽しみは予告編が見られることだった。[張り込み]、[鶯城の花嫁]、[鰯雲]、[赤い陣羽織]がそうだ。
少年探偵団は母の実家大津へ行ったとき叔母が見に連れていってくれた。やさしい叔母だったが若死にした。「白蛇伝」は初めて見た長編漫画映画だったので、視聴後ずっとその画を模写していた。
日本映画のピークのこの年、特筆するのは石原裕次郎の活躍だ。興行収入ベスト10に4本も入っている。私も見たくて仕方がなかったが、この映画こそ不良の素になる映画だということで、学校の監視は厳しく、結局「風速40米」を一本見ただけに終わった。この年の1位と4位は同じタイトル、「忠臣蔵」だ。大映のそれが1位、東映が4位だった。私たち少年は圧倒的に東映を支持していたのだが。
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