あかん、冷や水や
8時前、目が覚めた。
体の節々が痛い。肩がはる。あそうか。久しぶりにディレクターをやったので体がついていかないのだ。くやしいけど、やはり年か。
現場に出ると、ディレクターは正直言って小間使いというか何でも屋だ。外部と交渉したり予定をたてたりインタビューをしたり食事の手配を考えたり、そして移動のときはたいてい三脚を担いだりする。スタッフの先頭に立って行動しなくてはならない。
いい具合に、私がいた職場では40歳ぐらいになるとデスクといって、現場に出なくようになる。これは年齢とともに体力が衰えることを考慮してある制度だろう。それでも、現場の熱気や作る喜びが忘れられない者は現場に留まるが、おおよそはプロデューサー側に回る。私もそっちへ行ってもう長い。時々、要員が不足したときに出ることがあるぐらいだ。
今朝は身に沁みて体力低下を思い知る。とにかく、昨日担いだ右肩が重いのだ。ドヨーンとしている。まあ、少し本日はセーブしよう。様子を見ながらやっていこう。こういうときに一番怖いのはぎっくり腰だ。ものをもちあげるときは、必ず腰を落としてとろう。
大阪に入り、鶴澤清治師匠の関西弁を聞いているうちに、だんだん昔使った言葉に私もなる。「ナンボ」「アカン」「ソヤケド」・・・。
昨日話を伺った、人間国宝の竹本住大夫さんは盛んに「はんなりと」と言っていた。この言葉のニュアンスはなかなか伝えにくいものだが、二人の名人のやりとりを見ているとなんとなく分かる。しかし、御年83歳の住大夫師匠の声の迫力。60前の私が年やなんていうことが恥ずかしいほどだ。
さて、今二人が稽古しているのは、5月に東京国立劇場で開かれる「芸の真髄」のためだ。
この会は、鶴澤清治さんの三味線の技を見せようというもので、会場のチケットは完売していると、昨日事務局から聞いた。ファンが待ち望んでいたことは、昨日初めて清治師匠の三味線を聞いて納得した。芸の底光りとはこういうものかと得心がいった。すさまじい迫力、しかもそれが表立たず内に深く秘められていると言う見事さ。およそ1時間半、一度も休憩をとらずに師匠は稽古にあたった。清治師匠も還暦を疾うに越えておられる。
やはり修練の賜物だ。
ま、私はディレクター2日目の今日はぼちぼちいこか。
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