青の幻想1
早春の山をぶらぶら歩いていた。見下ろす海は光っている。季語の「水光る」は春だ。
枯れ草もすっかり乾ききっている。寝転んで青空を眺めていたら、ふと思い出した歌がある。
♪胸に沁みる 空の輝き 今日も風の歌に しみじみ嘆く
悲しくって 悲しくて とてもやりきれない このやるせないもやもやを
誰かに告げようか
「悲しくてやりきれない」。これはサトーハチローの作詞で、30年以上前にフォーククルセダーズが歌った歌だ。
空の青さを見ていると悲しくてたまらない、という気分。どこかで、こんな歌を聴いた気がした。
椎名誠の「とりとめもなく青空のはなし」というエッセーを読んでいたら、懐かしい歌謡曲のフレーズとともに青空はこよなく悲しいと椎名は呟いていた。その歌謡曲とは。
♪こよなく晴れた青空に かなしと思うせつなさよ
うねりの波の人の世に はかなく生きる野の花よ
慰め励まし 長崎の ああ長崎の 鐘は鳴る
戦後まもなく流行った「長崎の鐘」の一節である。長崎に住み浦上で暮らしたときこの歌を知り、よくカラオケで歌ったものだ。この歌の作詞者を調べると、なんとサトーハチロー。
青空はかなしい。空が悲しいのだろうか、青が悲しいのだろうか。
私には青というものにかなしいということが含まれていると思うのではあるが――。
この仮説を少し検証してみようかなと思う。
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