ロックも俳句も傾(かぶ)くもの
1971年に、NHKにとんでもない番組が登場した。ロック番組「ヤング・ミュージック・ショー』。15年にわたり、ロックミュージックががんがん流れた。CCR、PINK FLOYD 、KISS、 ELP、、80以上のロックバンドが紹介された。この番組は海外のプロモーションビデオを購入したものや、来日したときに収録したものを織り交ぜて放送していた。
この番組の中心にディレクターのHさんがいた。KISSやエマーソン・レイク・アンド・パーマー、デビッド・ボウイの番組を制作した。昨年まで私と机を並べていたが、ついに最終定年をむかえ去った。今年65歳になる。だが今でも長髪だ。(といっても、後毛中心。前は少ない。私はコヅカッパラ現象と呼ぶ)。現役時代はその長髪にジーンズの上下、ロンドンブーツをはいて局内を闊歩していた。といってもご当人はいたって顕示欲がないのだが、その服装ではどうやっても目立つのだ。
私の職場で伝説がある。デビッド・ボウイが日本に再来日したとき、「Hに会いたい」と言って電話をしてきたというのだ。
この人はロックだけではなく不思議な番組をその後もたくさん作ってきた。「滝のアリア」というのも其の一つ。日本中の滝を歩き、その滝の前でミュージシャンが演奏するという相当ぶっ飛んだ番組だった。宝石の番組を作った。世界中の宝石とその産地を訪ね歩く番組だ。並みの者には発想しない番組をいくつも作ってきたのだ。
そのHさんは近年俳句に夢中だ。昔から芭蕉の「奥の細道」の番組などもてがけてきたのだが、リタイアして暇なのか、古今の名句を味わい、自らもひねっている。そして、この10年俳句に興味をもってきた私に、俳句がらみで声がかかることになった。
二人で句会をやろうと言うのだ。それも俳句をよむのではなく、古今名句を互いに披瀝しあって鑑賞しようじゃないかというのだ。実に高尚な趣味である。私もむろんその趣旨に賛成なのだが、2月3月は珍しく多忙となり、なかなか時間がとれない。お誘いにこのところ断りをいれているのが辛い。
と思っていたら、昼休みにばったり会った。そして早速芭蕉の俳論を聞かされた。Hさんの情熱覚めやらず、恐るべし。Hさんにとっては俳句もロックと同じくらいアバンギャルドな表現なんだ。
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