越前ガニ
蟹が解禁になり、故郷から送られてきた。大好物だ。腐りやすいので土曜日日にち指定で送ってもらった。梱包を解くとズワイが1ぱいにセイコが2はいあった。
誰にもあげない、食べさせない。独り占めして昨日3ばい食べた。
日本海で獲れるズワイ蟹は地域によって越前ガニ、松葉ガニ、と呼び名が変わる。
私としては絶対に越前ガニと呼びたい。
昨夏、日本海に大クラゲが大発生したとき、越前クラゲと呼んで忌み嫌っていたのだ。あのときだって京都府も鳥取も島根も石川もあったのに、悪いクラゲはすべて越前になった。
と突然愛郷心が湧いてきた。
だいたい島根で「松葉ガニ」を食べたとき、値段のわりに冷凍のぼそぼその味の蟹しか出てこなかった。それにくらべてわが故郷の蟹は雌の小さいセイコ蟹など、えもいわれぬほど美味だ。とますます身びいきになる。これも蟹というわが精神を蕩かす魔性の食べ物のせいだ。
名称にまだこだわるが、ズワイガニのオスを「越前がに」、メスを「セイコ(勢子)ガニ」という。メスは越前蟹とはいわないのだ。今知った。であれば、越前なんて名前などどうでもいい。私は好きなのはメスのセイコガニなのだから。
セイコ蟹は小さいけどとびきり美味だ。足は細くて肉は少ないがあまみがある。
だがこの蟹の本領は外子と内子の“子”だ。甲羅をばりばりと割る。暗緑色のハカマ(私らはフンドシと言っていた)を全て引きちぎり捨てる。これはけっして食べるなと言われている。そうだ、蟹を食べるときはぜったい水を飲んではいけない。せいぜいお茶、できれば熱燗にする。
外子の赤いこりこりは歯ごたえがよく味もいい。そして本丸内子。これが珊瑚色のつぶつぶの卵のかたまりだ。この“子”を酢醤油にといて食べると、もう羽化登仙の心地ぞする。
夜中になっておなかがしくしくしてきた。どうやら図に乗って食べすぎたようだ。何事もほどほどにということか。一ぱいぐらい誰かに上げるべきであったかと、後悔しても遅い。正露丸を3粒飲んでおく。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング