雪起こしの雷
朝、遠雷で目が覚めた。山の峰のほうから地鳴りのような音がした。
まるで天が腹を下したように鈍く響いてくる。
故郷の北陸ではこの時期によくある雪起こしの雷だ。これが鳴ると、やがてどさりと雪が降るぞと子供の頃は期待したものだ。
北国の冬はかく来る雪起こし 山本薊花
大人になってからは、ぶりや蟹が水揚げされるなあ、海鼠がうまくなるなあ、と冬の魚の味を待ち望むようになったが。
生きながらひとつに氷る海鼠かな 芭蕉
と、ここまで書いていたら、一発大きなカミナリが鳴った。朝のカラスが騒いでいる。
雪国の海鼠もうまいが、長崎、大村湾で獲れる赤なまこは最高に美味だ。だいころしに漬けて酢醤油で食べると、日本酒の肴にぴったりだ。朝から酒を思うなどめったにないが、今朝は肌寒いせいか熱燗が恋しい。
去年よりは又さびしいぞ秋の暮 蕪村
この句の前書きは、「老懐」とある。蕪村ほど才能があって、人も寄ってくる愛嬌があっても年々老いが淋しさを増したのだと知ると、淋しいのはお前だけじゃないとわが身につぶやきたくなる。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング