神楽坂から高田馬場まで
歩くと地形が体感できる。
今日は神楽坂の尾根筋を歩いた。
地下鉄で飯田橋まで出て、地上に出てとぼとぼ歩いた。出来るだけ悲劇的に。
別にネガティブなことがあったわけでない。やつして尾羽打ち枯らした風情で歩いてみたかった。できれば荷風もどきで。なーんて、愚行愚行。
小旅のはじまりは筑土八幡神社から。周りがすっかり近代化されたなかで、この社はさびた風情がエモイエナイ。境内には、若い女が一人ヨーガを営んでいた。
坂を上がりきると神楽坂上。ここはパスして、さきの矢来町へ。新潮社の本社がある。由緒伝統深き出版社、一度見てみたいと願っていた。社屋が道を挟んで3つほどあったが、シブい社屋は書籍同様こ洒落ていた。都会的なんだろうが、田舎者の私としてはやや業腹だ。まだ講談社や小学館のような中身うつろのハコモノのほうが好き、というのは僻みか。
その社屋の隣の隣に建つ新潮社の新しいファッションビル「ラ カグ」は、めっぽうカッコ良かった。2Fのイベントコーナーは3方壁がめぐらされ、その壁には古今東西の名詩がずらりと記されている。その中に懐かしい作品を見つけた。大学3年のときにエグチから教えてもらったフランシス.ジャムの詩だ。
「あなたの白い腕が、私の地平線のすべてであった」
このショップで老眼鏡を買った。鼈甲風のステキなフレーム、衝動で買った。
そこから早稲田まで尾根をだらだらと歩いた。
4時半、早大正門前到着。門前の古本屋数件に引きずり込まれてしまう。なんとここで慶応三田文学の同人たちのしょせきを3冊も購入。今月分のコヅカイが逼迫する。
5時半、JR高田馬場駅。日は暮れた。いざ帰りなむ目黒へ。