綺羅綺羅寒い
金曜日は寒かった。朝一番でスポーツジムに出かけた。9時オープンに間に合うために家を8時40分に出る。目黒通りをいっきに下る。権之助坂の終点にある横断歩道を渡ったときだ。
前からやって来た女子高生たちと交差するとき、ひとりの子が言った。「今朝はきらきら寒いね」。一瞬幻聴でもあったかと思ったが、どうも実音であったようだ。その後も女子高生は天気の話題を口にしていたから。
きらきらはキラキラネームのそれでなく、綺羅星のごとくの漢字の綺羅と私は確信する。
それにしても何とみずみずしいセンスだし表現だ。私はしばらくその言葉に打ちのめされていた。
ちょうど翌日土曜日に、遊俳倶楽部の11月句会がある。そこへ投句せねばならない。この綺羅綺羅寒いを織り込んだ句を作りたい。金曜日の午前中はそのことでずっと頭がいっぱいだった。
夕方、やっと出来た。
目黒坂綺羅綺羅寒き高校生
しかし結果は最悪。金曜日に句会に提出したものの宗匠からはまったく一顧だにされずボツとなった。だが、私個人としては想いが深い。
少し口惜しいから見栄を張って、採用された句も次に挙げておく。
屋根に立つサワンの谿(たに)や北斗星
冬に入る子の手を引けば薄曇り
その句会で選挙には漏れたが感心した若い人の句があった。
背の縮む電柱冬の鳥一羽
下五がよくないが、背の縮む電柱がすごい。冬になって日がどんどん短くなり、電柱も影か本体かなぜか短くなっている、気がする。こういう気分は分かる。
さらに句会で私が「天」の位をつけた句は
神無月口噛み酒に酔ひにけり
口噛み酒とはあまり聴かない言葉だが、最近若い人たちの関心を集めているという。ヒット映画「君の名は」の中で重要な出来事が口噛みに秘められているのだ。い
かくして久しぶりに出席した句会で気分は高揚。一次会で終わらず、2次会で高円寺まで遠出して深酒となった。高円寺では「赤ちゃん」という創業60年の老舗のスナックでハイボールをぐいぐい。最初は仲良くのんでいたお隣の自由業の方と、途中から議論が白熱し、「外に出ろ」と罵倒するぐらい悪酔いしてしまった。
おかげさんで、高円寺から総武線で新宿に出る予定が寝過ごして飯田橋まで行った。
口噛みの酒にあくがれ神送り 登羊亭
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