木戸銭はらって
日本映画が好調と噂を聞いて、この半月は映画館へ足を運ぶことが多い。「君の名は」を2日前に見た。新海誠監督のアニメ作品で、私のすこし苦手なSFファンタジーだ。
映画館は若いファンで7割かた席が埋まっていた。興行収入200億はまんざら嘘でもないようだ。映画が始まって、キャストの紹介でプロデューサーに川村元気とあって、彼はこういうジャンルまでカバーするのかと驚いた。担当していた「課外授業・ようこそ先輩」の最終回は彼の授業だったから、その後の動静にも関心をもっていた。
「君の名は」の映画そのものは、テンポがあって飽きることがない。十分楽しむことはできたが、最終局面ではカタストロフィー回避の仕掛けがいまいち分かりにくかった。画面は噂どおり、アニメとは思えないほど精緻にして華麗な色使いで十分堪能した。ジブリとは違ったテーストをもった画作りであることを知った。
カットレベルだが、電車のドアの開閉の画がとても心に残る。
難点は、物語の段落ごとにブラックアウトするのはパターンになっていること。いささか興がそがれた。上映時間が長く感じないほど、お話にテンポがあったのは、監督の今後の活躍を期待させてくれた。
ということで、久しぶりにアニメを見たせいか、マンガを読みたくなり、オフィスに戻ると、棚に「夏子の酒」が20巻あったので、12巻まで読破。
そして、本日5日。台風一過。秋晴れ、どころか気温が32度まであがって暑い日。
いまもっとも関心を集めている映画「怒り」を見に行くことにした。予約は朝のうちに済ませた。スクリーンに向かって左側、下手のIの1番。さて、どんな映画だろう。
それから4時間後。
まさに怒りだった。あまりの出来に落胆を超えて怒りがこみあげた。あれだけの上手いといわれる役者をそろえ、3つの局面を並行して走らせるというアクロバチックな構成。いかにも大作という表面(おもてづら)とはまったくうらはらの空しい読後感。人間の寂しさ、狡猾さとそのアワイが描けていない。今村昌平だったら、もっと凄い作品に仕上げていただろう。(「復讐するは我にあり」の緒方、三国、倍賞の圧倒的な芝居)
冒頭、日本映画が好調と書いたが、いささか疑わしい。「怒り」上映前に流れた予告編で、スコセッシ監督の「沈黙」が流れた。遠藤周作の名作を再映画化しているらしい。前作の篠田監督の「沈黙」はなかなかの労作だった。今度のスコセッシ版はどれほどのものが出来上がってくるのだろうか。
日本通で知られるスコセッシ演出は、けっして「サユリ」のようにはならないと信じているが。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれません
人気blogランキング