あの夏の日が近づいて
昨夜、来週の「課外授業」が仕上がった。舞台は東北多賀城市、先生は声優の山寺宏一さんだ。「声」がもっている不思議な力に着目した素敵な授業となった。この1か月の編集作業がようやく実を結んだなと、昨夜の最終試写を見ながら思った。いつもなら一本終わると次の企画を立てるまでリサーチとか資料読みに入るが、今年はそうならない。もう次の「課外授業」の編集が待っている。今度の月曜日には「お化け」の授業の編集第1試写が入っている。重ねて、沖縄の「故郷のチカラ」の試写がその翌々日から入ってくる。切れ目のない番組作りが続く。
その合間を縫って、今気になっているのが、「神風特攻」のことだ。春にMU大学の授業で「おじいちゃんと鉄砲玉」というドキュメンタリーを取り上げて講義した。若い女性ディレクターが制作した、局には珍しい私的ドキュメント。先年89歳で死去した祖父の頭から鉄砲玉が出てきて、その祖父の戦争体験とは何であったかを、孫であるディレクターが追うという作品だ。この祖父が飛行機乗りで、戦争末期には鹿屋や台湾の特攻基地で活動していたのだが、いくつもの特攻攻撃に出撃したにもかかわらず帰還を果たしたとして、その祖父の行動を、ディレクターが戦友に尋ねて回るという作品である。
今年発売された森村誠一の小説も、このテレビドキュメンタリーと酷似した物語があることに先月気付いた。
そして、2006年に発表されて現在までベストセラーとなっている『永遠の0』を一昨日手にとり読み始めると、やはり「神風特攻」にまつわる零戦闘機のパイロットの話で、その主人公も特攻の指令からの「離脱」を試みつづけるという。この『永遠の0』では名戦闘機ゼロ戦の伝説があちこちに散りばめられているのだが、そこにこの名機を設計した人物として堀越二郎の名前が挙がってくる。
まだ公開されていないが、ジブリの新作「風立ちぬ」でも主人公のひとりに堀越二郎の名前があり、どうやらあの戦争の終末期の物語を描いているらしいのだ。なんだか、この半年ほど関わってきたことが一つの物語にリンクしているように思えてならない。
MU大学の授業は前期で終了したが、あのとき学生たちは普段とは違う強い関心を示したことが気になっていて、この「物語」の展開をもう少し見届けたい気がしている。
一方、1年前から書き続けている広島原爆の論文も佳境に入ってきた。改稿を続けているのだが、ここへ来て新しい事実と出会い、その出来事にも心奪われる。
あと数日で、また今年も8月6日がやってくる。
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