連嶺の夢想よ
4年以内に関東北部で大きな地震が来ると、今朝のアサイチで報じていた。
ああ、あの惨たらしい光景が再び起こるのかと思うと憂鬱だ。滅入ってくる。この地球のなかで、日本はかなり不運な区画にある。西ヨーロッパなんてほとんど地震がない。日本は四百年とか数十年とかの周期大きな地殻変動が起きるのだ。そのたびに、人のくらしはずたずたにされる。それでも、この国の人たちは不平をこぼさず黙って立ち上がってきた。
二十世紀の終わり、世紀末はそれほど大きな変動はなかったと見ていたら、こんな20年近く遅れて、苦難の時代が来てしまった。日本人の一人ひとりは勤勉に真面目に働いているものの、貧しい政治のために、この国は少しずつ沈下してきた、まもなく取り返しのつかないポイントまで後退するだろう。「曾根崎心中」の一節が聞こえてくる。
〈いつまで生きても同じこと・・・〉
一月の川一月の谷の中
飯田龍太の句だ。実に清潔な心境。このような境地に戻りたい。
伊東静雄とて呟く。
わが死せむ美しき日のために
連嶺の夢想よ! 汝が白雪を
消さずあれ
それにしても、「わがひとに與ふる哀歌」とは何と美しい題か。
戯れに、映画「なごり雪」を観た。大林監督の作品だから、そこそこの仕上がりだろうと見込みで2時間。
麒麟も老いて駄馬となる。いつのまにか、大林の感受性は摩滅していた。悲しからずや道を説く君。戯れに映画は観るな。
一方。「SONGS」で由紀さおりを聴いた。彼女のアルバム1969が欧米でヒットしているという時宜にあわせた企画だろう。「マシュケナダ」と「ブルーライト横浜」がよかった。歌謡曲に一生を賭けるという由紀の心意気に感心する。願わくば、「手紙」か「初恋の丘」を歌ってほしかった。気まぐれに歌を聴けば。
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