日々の過ごし方
リタイアした人たちは、毎日どうやって過ごしているのだろうか。
それまで仕事、仕事で日程を決めていた日々が突然なくなる。もはや予定もなければ、人と会う約束もない。会議もなければ他のセクションとの折衝もない。何もしなくていいし何もすることがない。
自分の仕事はテレビの番組を作ることだったから、テレビを視聴することも仕事のひとつであった。だから暇になったからテレビをぼーっと見るだけというのはありえない。つい仕事のモードに入ってしまうから、おそらく日々のテレビ視聴はリタイア後はやらないだろう。あと残るのは読書とスポーツぐらいだ。
読書も厄介だ。これまで純粋に読書を楽しむことは少なかった。たいてい、番組のネタ探しで本を読んできた。図書館で10冊の本を借りて来るときも、8冊はネタ本で残り2冊は俳句かミステリー。この個人的趣味の部分を拡大するべきであろうが、なかなかそうならない。
スポーツはほとんどない。せいぜい散歩かテレビ体操ぐらいだ。体操はほぼ毎日5分続けるようになっているが、これは楽しみというより健康維持のための義務のようなもの。ゴルフはやらないし園芸や畑もやらない。食べ歩きとて、胃がんの手術以来食欲は縮小した。
リタイアした先輩たちはどうやって日々を過ごしているのだろうか。お迎えが来るのを、ただ黙々と待っているのだろうか。もっとも積極的に生きているのは、私の周囲では京都山科に隠棲するジローさんだ。53歳で早期退職して、滋賀大学経済学部の大学院に入りなおした。数年遅れて、奥様も退職して神戸大学大学院に進学された。二人して、大学院生活を4、5年楽しむ。その後は、年に1回の海外旅行。やがて60過ぎから母上の介護となるが、特養ホームに入ってからは、それからも解放。ただいまの「仕事」は尊厳死協会の関西支部の役員。少し耳が遠くなったが、毎日を楽しそうに生きている。
先日、自由が丘で再会したカシクラさんはもっとも知的な生き方を実践していた。55歳で退職後、京都大学教授を5年ほど勤め、放送大学の副学長、付属図書館館長を数年はたしたうえ、執筆の生活に入った。この1年に400頁以上の書物を3冊も上梓している。声は相変わらず大きく、好奇心はとどまるところがない。
もっとも禁欲的な生き方は虎さんだ。府中の一戸建てにひとりで住んでいる。ほとんど誰とも会わない。一週間で口をきくのは、買い物に出たスーパーのレジ係だけ。午前中は近郊の野山を走り、夕方は市立体育館の道場で一人で空手の稽古を積む。これの繰り返しをもう数年続けている。
どの生き方も、私には合いそうもない。
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