ドーバーの白い崖①
ヘイリー・ミルズ
イギリスとフランスの間にあるドーバー海峡は、隔てることわずか30数㌔。
津軽海峡よりも短い。
海峡のイギリス側の海岸線は白い崖になっている。昔、ヘイリー・ミルズという
名子役が主演した映画に「ドーバーの白い崖」というのがあった。この映画を
見たことはないが、タイトルの美しさが心に残った。
先年、ロンドンへ仕事に行ったとき、1日だけオフが出来た。通訳の女性が
どこか行きたい所がありますかと問うので、ドーバーの白い崖を見たいと言った。
―― ロンドンから電車で3時間足らずで、テームズ川河口の港町まで出かけた。
郊外に出ると、白い崖がえんえん続いていた。白亜の壁だった。
崖際まで草原があった。白と緑と海の青さが鮮やかだった。丘の上にはフランスの
侵入を防ぐための城壁が残っていた。
女優のヘイリー・ミルズはイギリスの名優の娘で天才と言われた。私と同年だった。
中学生当時で、大人に交じって活躍するなんてすごいなあと感心したものだ。
美人でないがそばかすが可愛かった。
彼女の映画(タイトルが思い出せないのがくやしい)の中でセクスアピール(性的魅力)という言葉が使われ、意味が分からないまま覚えた。
性という字が含まれているから、なんとなくイヤラシイ言葉だろうと思っていた。
38年豪雪か翌年だと思うが、中学校の校内雪像コンクールが開かれた。私の
クラスは女性のヌードを作った。最後に、胸のあたりに雪のかたまりを私が加えて、
セクスアピールだと叫んだら、若い美術教師がおまえエライ言葉知ってるなと褒めた。
少し私は得意だった。
後に、テイタム・オニールやジョディ・フォスターが登場したとき、ミルズの方がうまいのでは
ないかと思った。あれだけ一世を風靡した彼女だが、成人してからとんと噂を聞かない。
どうしたのか。
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