草葉の陰
いつになく多忙な夜が続いている。13日打ち上げ、14日出版関係者との飲み会、15日番組制作チームとの飲み会。日中は8月1日放送の「極上美の響宴」の最後の編集局面に入っていて、幾度となく試写を繰り返して多忙な日々だから、けっして楽なスケジュールとはいえない。普段なら月のうちせいぜい2日ほど飲み会がある程度の私に、この連続は異例だ。
昨日の日中は第2回目の局試写だった。二人のプロデューサーに見せたが、おおむね了解を得た。むろん、まだ仕上げるまでにいくつも課題はあるのだが、番組のメッセージや方向性において合意を得たのだ。試写後、2時間ほどかけて構成の直しを行ったあと、スタッフで夜の赤坂へ出て軽く酒を飲んだ。
さて、その番組は戦争画を取り上げている。昭和19年に描かれたその絵は、不思議な迫力をもつ。その絵が誕生した経緯から戦後の数奇な運命までをみつめたアートドキュメントだ。番組の旅人はアニメーション映画監督の高畑勳さん。高畑さんは絵に詳しく、世界中の美術館をめぐって、2冊の本を著すほどだ。その高畑さんの心に残ったのが小早川秋聲「国の楯」。この絵をめぐって、高畑さんは鳥取、京都を旅して行く。
高畑監督といえば、「火垂るの墓」があまりにも有名だ。戦争末期、幼い兄妹が二人だけで生きて行く物語。最後に妹は亡くなり、蛍となってその魂が飛び散っていく美しい物語を、監督は描いている。その蛍の精はこの世を離れても草葉の陰にあってじっと生者を見守っている存在として描いたと、監督は語っている。旅の途中で聞いたその言葉が忘れられない。
最近、瞑想を復活させている。17年前に広島の瞑想教室で手ほどきを受けて3年ほど毎日続けたが、ここ数年は2%にもならないほど実習率が低下していた。ところが、先日、広島で久しぶりに教室を訪ねて、合同瞑想に参加してから、毎日行うようにしている。朝夕2回がルールだが、夕方は難しいものの朝は今のところ毎日行っている。
20分、目をつぶっているといろいろな雑念が湧いて来るが、そのなかに、亡くなった人や縁遠くなって会わなくなった人のこともふっと浮かんで来ることがある。そういう存在をここ数年うちおいてきたが、草葉の陰にいると思うと、すっと肩の力が抜けた。
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