はも(鱧)
入梅した京都で、昨夜は鱧を食べた。
このところよく通うようになった京料理の店三栄でのことだ。河原町四条下の路地を2筋ほど入ったこていな店で、板前さん二人とおかみさんだけの静かな店だ。4月には竹の子料理だったが、月があらたまって鱧がメインになっていた。S先生と歓談しながら鱧を賞味した。胃の手術以来、めっきり食べる量が減ったからコース料理は普段は口にしないが、鱧だけは特別だ。
最初に鱧おとしが出てきて、目からまず食欲が湧いた。骨切りを施したハモを湯引きした真っ白な鱧おとしを、梅肉味噌で食すとなんともいえない上品な味が口のなかに広がる。胡瓜・みょうがの酢のものの鱧ざく、お吸い物、寿司、天ぷら、骨せんべいなどさまざまなかたちで鱧料理が運ばれてきた。
満腹して、店を出ると小雨が降っていた。河原町交差点傍のコーヒーショップで食休みのお茶を飲んで、先生と別れた。大阪にご自宅のあるS先生は、こうして遅くなったときは鷹峯にあるご実家に帰られるそうだ。
私の定宿は四条木屋町の入り口というまことに便利なところにある。ビジネスホテルで建物の作りは古いし部屋も狭いが、交通が便利なことと値段が安いということで5年ぐらい通っている。会員にもなっているので1泊5000円を下回る。部屋はいつもの211号室。建物の中央にあって窓がなく狭いが安くて静かが気にいっている。
10時に寝たから今朝は6時前に目がさめた。外が白みはじめると、とんびの声が騒がしい。鴨川の川原にでも獲物を見つけたのだろう。京都では、空高く飛ぶとんびに出会えるのは嬉しい。今では大磯でもほとんど見なくなっているから。
寝床で、S先生から借りた『万葉集の発明』を読む。副題が「国民国家と文化装置としての古典」とある。以前、ブログにも書いたと思うが、万葉集というものが日本人の心のふるさとという言説は、明治時代以降に作られたものだという面白い論文だ。夢中で読んでいたらすぐ8時半になった。ダイニングへ行って朝食をとることにする。
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