朝焼けのなかで
5時、暗闇のなかで目を覚ました。まだ早いから寝床でじっとしていた。起きてガサガサ動けば家人にも迷惑だから。
5時半を周り、次第に明るくなってきた。体を起こしてベランダの窓越しに外を見ると、美しい朝焼けが広がっていた。
40年前の冬の朝を思い出した。
大阪の梅田で勤務していた時期。週末は敦賀の実家に帰り、月曜日の朝一番の電車でオフィスに出社していた。9時半操業開始だから、朝5時20分の電車に乗れば間に合った。夏は苦にならなかったが、冬は厄介だった。なかなか起きられなかった。ぬくい寝床からなかなか抜出せなかった。いつもぐずぐずして5時まで寝ていた。遅刻してもいいじゃないかという誘惑の声がどこかから聞こえてもいた。
5時を回ると、母親が起こしに来た。「みそ汁の熱いのを飲んで、早く行きなさい」
目をこすり、冷たい水で顔を洗うと、正気になった。炊きたてのごはんを頰ばって、みそ汁をかきこんだ。冬はわかめか大根だった。
5時15分に家を出ても20分の電車に間に合った。
「行ってきます」と声をかけて家を出ると、あかつきが広がっていた。
電車に乗ると暖房が効いていてうとうとした。北陸線は山中を走り、余呉湖あたりまで来ると朝焼けが空一面に広がった。
子供のために早くから起きて、朝食を作ってくれている母を思った。父が駅まで車で送ってくれることもあった。朝焼けの金色の光は高い空まで広がっていた。
今考えてみると、すっかり私は親の庇護のもとにあったのだ。先日読んだレベッカ・ブラウンの小説の一節を思い出す。
「子供はいつまでも、親の子供でありつづけた・・・」
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