熱のある子をおいてゆくのだ
朝日新聞の4月の歌壇でみつけた。
子のためと吾は働くのであるけれど熱のある子をおいてゆくのだ (松戸市)花嶋八重子
選者の永田和宏氏はこう評している。
「花嶋さんの一首、子のためと思いながらも、熱のある子を置いてでも
働きに出なければならない切なさ。働く母親の共感は大きいだろう。」
私も25年前、共働きで悩んだことがある。生後半年の子を他人に預けて
働くことの苦しさ、切なさ。けっして母だけが切ないのではない。
特に、熱があるときは心が引き裂かれる。置いていってもいいか、もし
何かあったら、と最後まで逡巡するのである。
花嶋さんの歌は実によく分る。この歌は現代的な言葉使いから言って
おそらく20代の母だろう。バリバリ働く女性たちが、時折見せる
気高いか弱さ。
会社の近くに保育園がある。朝、その前を通ると送ってきた母や父の
姿をよく見かける。幼い子を自転車から下ろし持ち物を確認して園の
戸口で別れる。
親が帰っていくのをいつまでも見送っている子を見ると、その健気さに
胸がつかれる。子もまた母と同じく戦っているのだ。
ただし、感動する私は、今は子を見る目でなくじょじょに孫を見る目になっている。
そのことに気づいて、はたと驚くのであった。嗚呼。
さて、今日から4日ほどみやこへ旅をする。途中でパソコンがあれば、このブログも
現地報告したいと願ってはいるのだが、どうなるやら。
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