2つの恋愛小説
なにげなく2冊、若い女性作家の恋愛小説を読んだ。
『ストーリー・セラー』有川浩
『49日のレシピ』伊吹有喜
読みやすい。最近の若者言葉の表現が秀逸なので、その会話体を楽しめた。読後は悪くない。「49日」は半ばですこし話がだれるが、まあテレビドラマのような作品と思って読み通した。
感心したのは有川の作品。筋の運びやキャラクター作りもうまいが、構成が実に巧み。さらに、言葉づかいが多彩でかつ今風でもあって、その才能に驚いた。前から東浩紀らが評価していたことを思い出した。
東と有川の共通点はSFではないかと推測する。それとネットで検索したら、彼女は歌人であり俳人でもあるとか。道理で、言葉が「猥雑」だ。
たしかにライトノベルと呼びたいほど、軽さがあるが、これは何も人生に対して軽いということではない。神谷美恵子の説く「こころの旅」を生きている若者の、今の姿だと思った。
それにしても、今の若い男の内面がこれほどナイーブだということが、私にはどうも実感できない。電車で脚を投げ出して、ケータイしか見ていない男、ネクタイをして営業しているような男の尊大さ、からほど遠く、ここに描かれている若い男は、女性から見た理想像ではないかと言いたくなるのだが。
今回の清元の編集の間、ほぼ毎日居酒屋へ通った。升酒とイカの刺身だけという滞在30分の晩酌。そこで見たのは、女同士の客や中年男の不倫カップルだった。たまに若い男たちのグループもいたが、声が大きく騒がしいだけだった。そこからかいま見る今の男女だが、それほど繊細には見えない。
でも、『ストーリー・セラー』に出て来るような男女が、現代に生まれているとすると、世の中はかなり変わっていくだろうし、面白そうなのだが。とにかく、私のような男と違って、家事、炊事が出来る男というのは不思議で仕方がない。
そういえば、うちの豚児も料理をするのが好きだといっていたか。
昭和40年代の「映倫」に関するドキュメントを手に入れた。ピンク映画の審査の裏側が知れる。猥褻とは何かということもさりながら、当時の男女の心のありばえにも迫っていて面白い。今の男女とは違う、野卑な性愛がそこにはある。現代のそれと比較したいという欲望がわいてくる。
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