みさと類
見た、見た。昨夜遅くまで『清左衛門残日録 仇討ち!播磨屋の決闘』(1995年)を見た。
前々回の記事に書いたとおり、この清左衛の物語の終わり方が気になってしかたなく、あれこれ当たったところ、友人が録画していたのだ。
1995年の正月ドラマといえば、その直後に阪神淡路大震災が起こったりサリン事件が起きたりで騒然とした年だ。私も正月は大磯の実家に帰省していたが、広島に単身赴任中だった時期。だから、このドラマのことはよく覚えていない。というか、まだこの頃は藤沢周平とは出会っていなかった。
『清左衛門残日録 仇討ち!播磨屋の決闘』は、“残日録”の後日談のようになっている番外篇だ。料亭「湧井」に、おみさがいなくなって、みさの叔母という類が登場する。これを浅丘ルリ子が演じている。メイクは濃く時代劇のリアルからは浮くのだが、存在感といい役柄といいうまい。正月ドラマということもあって、主役の仲代のほかに森繁は出るわ、浅丘はでるわで、豪華なキャストとなっている。しかもこれら大俳優はしっかり自分の持分を発揮して、芝居に厚みが出ている。やや話が逸れた。
みさは隣藩の実家に戻りそこで再婚していたことが、類の口から明らかになる。その婚姻は破綻しているわけではないが、淡々としたもので、今でもおみさは清左衛門を偲んで泣いている。みさはそう記した手紙を、類にもたせていた。実は、その手紙の存在を明かす一月前に、洪水でおみさは亡くなっているのだが。類はその死者となったみさの手紙を運んできた女となる。やがて、この類も清左衛門の城下を去っていく。
つまり、おみさが湧井に戻ることはなかったのだ。もどって、再び商売を始めるという物語は私の勘違いだった。
ところで、この番外の物語は何が原作だろう。たしかに、若い日の親友が清左衛門に刃向かって来るという筋は藤沢のなかにあった気もする。ともよという女を不幸にしたと男が悔やむ話もあった気がする。しかし、藩内の執政府の権力闘争が破裂して、最後に一方の総帥朝田弓之助が切腹という筋まで、藤沢は書いていたかな。覚えがない。ここまで藤沢は書いていなかった気がする。このドラマが制作されたのは1995年、藤沢が死去したのは1997年だからまだ存命である。藤沢がこの番外の物語を書いたのだろうか。それとも、脚本の竹山洋がオリジナルで書いたのだろうか。別の新しい疑問が生まれてしまった。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング