城端の町
城端線は高岡から終点の城端まで11の駅があって単線である。およそ1時間で城端に到着した。電車をおりたのは、私ともう一人だけ。小さな駅には年配の駅員が一人で切り盛りしている。どこか荷物を預ける場所はありませんかと聞くと、「ここの事務所に置いておけばいいよ」と嬉しい返事。好意にあまえてカートを預け、カバンひとつの身で旧城下をめざす。
まったく何も無い町だ。人もいない。だだっ広い道路がまっすぐ伸びている。平行して走る急流があり、その川を渡ると小高い丘になり、立派な寺院の伽藍が見えた。
近づくと、真宗の本願寺別院の善徳寺であった。400年以上の歴史をほこる由緒正しいお寺だった。おとないを入れて、私は大きな本堂で一休み。ここには加賀藩前田家伝来の宝物や寺宝も保管するなど近在の信仰と崇敬を集めている。朝の誰もいない薄暗い本堂で私はしばし瞑想した。
この立派な寺院とお庭だけ見て駅に戻る。立派な建物だが、雪国独特の傷みがそこここにある。だが苔の美しく映える庭は立派なものだった。帰りはコミニュティバスでさっと駅まで戻ることができた。
駅の待合室で半時間ほど上り電車を待つ。その間、観光パンフレットを読むと、この町の隣五箇山に平家落人の集落があって、そこに伝わるのが有名な「むぎや節」ということであった。富山の山間地には「風の盆」の八尾や遠く白川村まで平家伝説が色濃くあるのだ。
麦屋節の一節
浪の屋島を 遠くのがれきて 薪こるてふ 深山辺に
頼朝の追及を逃れてはるばるやってきた人たちがここに文化を創っていたのだ。緑濃い城下町を離れたのは、午前7時25分。
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