その一点で
『人間失格』のなかで、太宰と思われる主人公は、これまで人に殺されたいと思ったことはあったとはいえ、人を殺したいと思ったことがないと語る。
人を殺せば、その殺された人をやさしく葬られるではないかというようなことを、続けて書く。自分をこの世から抹消することに恐怖はある。だが、誰かがそうしてくれるなら、その「処理」にのりたい。そんな思いが透けてみえる。若気のセンチメンタルにしても、太宰の此の感懐はただごとではない。
こんな作品を書いて、太宰がもし60まで生きたら、苦しかっただろう。これを脱稿してから、玉川まで短い。
朝からの蝉時雨。朝9時。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング