ああ青春の胸の血は
♪あふれる若さあればこそ、未来に向かいわれ等立つ 海の太陽、山の雲 輝け命のかぎり
という詞は、舟木一夫の「ああ青春の胸の血は」の一節だ。今から40年も前を思い出す。
(*輝け命のかぎりではなく、輝け命の歌声に ああ、だそうだ。なるほど。)
京都13時45分発、湖西線周り敦賀行き新快速に乗った。土曜日の昼下がりとあって、車内には高校生や大学生らしい若者の姿が多い。
私の座っているところからよく見える扉のところに、大学生とおぼしき男女のグループがいる。女子3名、男子6名。空席があるが座らず、みな固まって会話に興じている。話している内容は聞こえないが、楽しそうな気配だ。全員が笑顔だ。
この沿線には立命館大学の分校があるから、そこに帰っていく学生ということも考えられるが、私の見たところ、京都市内の学生で、週末の遠出のような様子だ。おそらく、みんなで比良山か竹生島あたりにハイキングに行くのではないか。昔の私らの言葉を使えばゴーハイ」、合同ハイキングに出かけて行くと推測する。ゴーコン〈合同コンパ〉という言葉は今も残っているが、ゴーハイは死語になっているかもしれない。
新快速電車は坂本比叡山の駅でしばらく停車。若者グループのなかの女子が結婚の話題を持ち出した。走行音がないから離れていても聞こえてくる。「うちの、お兄ちゃんが、来月結婚するんよ」。と、「羨ましい」と別の女子。一人の男子がぼくももうすぐ結婚するつもりだと発言すると、その女子は少し驚いた様子。「へええ、結婚しはるんですか」。意外な答えに驚く女の子の表情が愛らしい。しかも京ことばの優しさがなんともいえない。
女子は3人とも化粧をしておらず、表情も幼い。ぼくらの時代の女子大生の雰囲気をかもしている。懐かしくなるような女の子たちだ。だから、余計私はそのグループに興味をもったのかもしれない。あっけらかんと笑っている彼女たちの姿がなんともまぶしい。彼女たちのおしゃべりにつきあっている男子たち5人もにこにこ笑いながら話を聞いている。彼らもなんとなくいいやつのような気がしてくる。
一人ひとりにはそれぞれ悩みがあるかもしれないが、なんの憂いもなく青春の真っ只中にあるように見える彼ら・・・。
窓外に目をやると、美しい水田の向こうに琵琶湖があった。竹生島の青い影が霞んでいる。
近江高島の駅で、そのグループは降りた。彼らだけでなく、他にも若い男女が50人ほど降りた。どうやらどこかの大学の新入生の一泊研修らしい。この高島に大学の宿泊施設があるのだろう。
東京では、最近めったに遭わない素朴な若い男女たちを見ているだけで心楽しい時間だった。快速電車は琵琶湖をはなれて、北国街道の山道に入っていく。まもなく、近江塩津。
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